「弁護士に相談するほどじゃない」と思っていませんか?
結論から言うと、家賃値上げや更新料のトラブルで悩んでいるなら、一人で抱え込まず、借主の全借連や弁護士に早めに相談してほしいです。
とくに、管理会社が「家賃を勝手に更新料に充当して滞納扱いにする」ような悪質なケースでは、メールのやり取りだけで自分一人が立ち向かうのは、現実的にかなり厳しいからです。
この記事では、私が実際に経験した「法定更新なのに、合意更新を前提に更新料や遅延損害金を請求され続けたケース」と、そこから全借連・全借連から紹介された弁護士と一緒に状況を立て直していった流れを紹介します。
一人暮らしの学生さんでも、「こんな流れで動けばいいんだ」とイメージできるように書きました。
なぜ一人で抱え込むと危ないか
私の場合、長く住んできた賃貸で、ある時期からかなり大きな家賃値上げを求められました。話し合いではまとまらず、最終的には裁判になり、「ある時点までの差額や更新料も含めて、一括払いで整理する」という和解が成立しました。
和解金を払ったあと、私は「これで過去の分はいったん清算された」と理解していました。
ところが、その後も管理会社は、以前の契約書を前提にこう言い続けてきたのです。
- 「合意更新になっているので、更新料や更新事務手数料、遅延損害金が当然に発生する」
- 「あなたが払っている家賃は、まず更新料や遅延損害金に充当し、その残りだけを家賃として扱う」
私は毎月、振込名義に「○月分家賃」と明記して、期日どおりに家賃を振り込んでいました。
それにもかかわらず、管理会社側の帳簿上は「家賃不足」「滞納」とされてしまい、遅延損害金まで計算されていきました。
見た目だけでは、「家賃を払っていない悪い借主」という形にされてしまう。
ここが、静かに怖いところです。
一人で調べて戦ってみたけれど…
最初のうちは、私も「自分でやってみよう」と思って動きました。
- 契約書と借地借家法、更新料に関する判例を調べる
- 行政の相談窓口に電話して、管理会社の対応が問題ないか聞いてみる
- メールで、「和解調書と整合していないのでは?」「法定更新ではないか?」と質問を投げる
- 経緯書面を自分で作り、今までのやり取りを整理して相手に送る
ここまでやっても、管理会社のロジックは変わりませんでした。
むしろ、ある日送られてきたのは「家賃複数ヶ月分+不足分+更新事務手数料+遅延損害金」をひとまとめにした請求書でした。
「家賃は払うつもりなのに、これはさすがに一人では無理だな…」
そう思ったのが転機でした。
全借連の相談員と弁護士が「伴走者」になってくれた
ここで頼りにしたのが、全国借地借家人組合連合会(全借連)でした。
前回の記事(法定更新編⑦)でも少し触れましたが、私が電話をしたとき、相談員の相田さん(仮名)は、まずこちらの話をじっくり聞いてくれました。感情的な愚痴も含めて、一度すべて出していい、という空気を作ってくれたのが印象的でした。
今回の請求書と、私が書いた返信メール案を共有したときも、相田さんは、
- 「どの部分が法的な争点になりそうか」
- 「どこまで自分で進めていて、どこからは専門家に任せた方がよいか」
を一緒に整理してくれました。そして、「ここから先は弁護士にも見てもらいましょう」と、この手の対応に精通した地域の弁護士を紹介してくれたのです。
弁護士相談の日、心強かったのは、相田さんが同席してくれたことでした。
これまで、役所でも裁判所でも、基本的に一人で扉を開けてきた私にとって、「誰かと一緒に弁護士事務所に入る」という体験は、それだけでかなり安心感がありました。
相談では、これまで自分で作った経緯書面や、管理会社からのメール、裁判の和解条項などを机に並べ、弁護士に一つひとつ見てもらいました。
ポイントだったのは、
- 和解のときに支払った一括金の中に、過去の更新料も含まれている
- その資料を前提に裁判所が和解条項を作っている
という事実です。
弁護士はこれを踏まえて、「一定時点までの家賃差額や更新料は、すでに清算済みと評価できる」と説明しました。
また、「今の賃貸借は法定更新として主張してよい」「法定更新なら、更新料や更新事務手数料は発生しないと考える立場でよい」という点も、はっきり言葉にしてくれました。これまで「たぶんそうだろう」と思っていたことが、専門家の言葉で整理されると、気持ちがかなりラクになります。
相談の終盤で、家主宛に内容証明郵便を出す方針が決まりました。
主な中身は、
- 法定更新なので更新料は発生しないと考えていること
- 裁判での和解により、過去分の差額や更新料は清算済みと理解していること
- それにもかかわらず、旧契約を前提に更新料や遅延損害金を請求し続けるのは、法的根拠に乏しいと考えていること
これらを、落ち着いた文章でまとめて送る、というものです。
印象的だったのは、「弁護士名義で出すかどうか」は後から決めるにしても、いちばん大事なのは「自分の認識とラインを、はっきり文章にすること」だと弁護士に言われたことでした。
全借連の相談員と弁護士が横にいてくれると、「伴走者がいる」と感じられますが、最後に歩くのは自分だというバランスも、少しずつ分かってきました。
一人暮らし学生さんへのメッセージと、次の一歩
ここまで読んで、「自分のところにも、ある日いきなり似たような請求書が来たらどうしよう」と不安になったかもしれません。
でも、覚えておいてほしいのは、家賃トラブルは「一人で全部抱えるもの」ではないということです。
- 家賃の値上げは、貸主が一方的に決められるものではなく、借主にも拒否や交渉の権利があります。
- 法定更新になった場合、契約書に特別な書き方がない限り、「当然の更新料」が発生しないケースもあります。
- 過去に裁判や和解があった場合、その中で「どこまで債権債務が清算されているか」は、専門家と一緒に確認した方が安全です。
そして、実際に私が助けられたように、借主の立場で相談に乗ってくれる団体(全借連など)や弁護士が、ちゃんと存在します。
もしあなたが、
- 「突然の家賃値上げや更新料請求に不安を感じている」
- 「管理会社の言っていることが正しいのか分からない」
- 「親や友だちにも相談しづらい」
と感じているなら、まずは次の一歩だけでも試してみてください。
- 大学の学生相談室や、自治体の法律相談をチェックする
- 「家賃 値上げ 拒否」「法定更新 更新料」などのキーワードで、基礎知識をざっと押さえる
- 借主側の相談窓口(全借連など)のサイトを開いて、最寄りの相談窓口を確認してみる
スマホ一台あれば、情報の入り口にはすぐ辿り着けます。
そのうえで、「これは一人で抱えない方がよさそうだ」と感じたら、早い段階で誰かに話してみてください。
この「家賃値上げバトル・全借連編①」は、まだ始まったばかりです。
けれど、一人で耐えていた頃と比べて、
- 自分がどの立場で何を主張できるのか
- どこからは専門家に任せた方がいいのか
が、少しずつ見えるようになってきました。
同じように悩んでいる一人暮らしの方が、「自分にもできる一歩」を見つけるヒントになればうれしいです。
(※本記事は筆者の実体験をもとにした一般的な情報であり、特定の事案についての法的助言ではありません。詳しい判断には、お住まいの地域の弁護士や相談窓口にご相談ください。)


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