賃料増額請求を巡るトラブルでは、不動産鑑定士による「不動産鑑定評価書」が重要な証拠となることがあります。しかし、鑑定書の作成には費用がかかるため、依頼するべきかどうか迷う人も多いでしょう。本記事では、不動産鑑定士に賃貸物件の不動産鑑定書を作成してもらう際の費用相場や依頼時のポイントについて解説します。
不動産鑑定書とは?
不動産鑑定書とは、不動産鑑定士が公正な立場で物件の適正な価格や賃料を評価し、その結果を詳細に記載した書類です。賃貸物件に関する不動産鑑定書には、「適正な賃料」がいくらなのかを示すため、賃料増額請求の訴訟などで証拠として提出することができます。
鑑定費用の相場
不動産鑑定の費用は、物件の種類や規模、鑑定の難易度によって異なりますが、一般的には以下のような相場になります。
① 賃料鑑定(賃貸借契約に関する評価)
• 一般的な賃貸住宅(マンション・アパート)→ 約20万~40万円
• テナント・オフィスビル・商業施設 → 約30万~60万円
② 売買価格の鑑定
• 一般的な住宅(戸建て・マンション) → 約30万~50万円
• 商業施設・投資用不動産 → 約50万~100万円
賃料増額請求に関するトラブルの場合、依頼するのは「賃料鑑定」になります。そのため、賃貸住宅なら20万~40万円程度が相場です。ただし、これはあくまで目安であり、物件の規模や地域、不動産鑑定士の報酬基準によって変動します。
費用を抑える方法
不動産鑑定書の作成には高額な費用がかかるため、以下の方法で費用を抑えられる可能性があります。
1. 簡易鑑定を依頼する
不動産鑑定士によっては、正式な鑑定書ではなく、簡易的な意見書(アドバイザリー)を作成してくれる場合があります。これなら費用は5万~10万円程度に抑えられることが多く、賃料増額交渉の参考資料として活用できます。
2. 複数の鑑定士に見積もりを取る
鑑定士によって報酬額が異なるため、複数の鑑定士に見積もりを依頼すると、より安価なところを選べる可能性があります。ただし、単に安いだけでなく、信頼できる鑑定士を選ぶことも重要です。
3. 賃貸人(大家)側の鑑定書のチェックに活用
大家側が不動産鑑定書を用意している場合、こちらも鑑定を依頼するのではなく、既存の鑑定書の内容を精査して反論する方法もあります。不動産鑑定士に意見を求めるだけなら、正式な鑑定書を作成するより費用を抑えられます。
不動産鑑定書を依頼すべきか?
賃料増額請求の訴訟に発展した場合、適正賃料を示す客観的な証拠として鑑定書が有効なことは確かです。しかし、鑑定費用が高額であるため、費用対効果を考えることが重要です。
例えば、家賃が月5万円の物件で家主が1万円の値上げを要求している場合、1年間の増額分は12万円です。対して、鑑定書の作成に20万円以上かかるなら、経済的には割に合わない可能性があります。
そのため、以下のようなケースでは鑑定書を依頼する価値があるでしょう。
- 訴訟に発展し、鑑定書が判決に大きく影響しそうな場合
- 家賃の増額幅が大きく、経済的に影響が大きい場合
- 家主側が鑑定書を提出しているため、対抗する必要がある場合
逆に、交渉段階であれば、簡易意見書や他の証拠(近隣の賃料相場のデータなど)で十分な場合もあります。
まとめ
不動産鑑定士に賃貸物件の鑑定書を依頼すると、一般的な賃貸住宅の場合、20万~40万円程度の費用がかかります。そのため、費用対効果を考え、必ずしも正式な鑑定書を依頼するのが最適とは限りません。
訴訟での証拠として必要か、交渉段階では簡易的な意見書で済むかなど、状況に応じた判断が重要です。鑑定費用が高額になるため、まずは複数の鑑定士に相談し、必要性をよく検討することをおすすめします。



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