― 行政と保証会社が見た“人工的な滞納” ―
前回までの内容証明編では、
- 更新料や遅延損害金などを理由に、家賃から勝手に差し引き、「帳簿上の家賃滞納」を作り出していること
- それに対し、こちらは異議の準備(内容証明の下書き)と行政への相談まで進めていたこと
などを書いてきました。
今回はその続きとして、
- 行政や法務当局とのやり取りを通じて見えてきた「誹謗行為」「自力救済」の位置づけ
- 家賃保証会社との通話で露わになった「不動産屋からの報告の中身」
- そして今、私がどんなスタンスでこのバトルの“第2ラウンド”を迎えようとしているか
を、一人の借主の記録として残しておきたいと思います。
行政と法務省が見た「誹謗行為」と「自力救済」
まず大きかったのは、全国借地借家人組合連合会(全借連)の担当を通じて、
- 関東地方整備局
- 法務省大臣官房司法法制部
が、この一連の案件に目を向け始めたことです。
家主・不動産屋が取ってきた手段は、ざっくり言えばこうでした。
- 「契約はすでに解除済み」「あなたは不法占拠状態です」
- 「賃料相当損害金として○○円を請求します」
- 「退去しないなら建物明渡訴訟を提起します」
そしてこれらを、
- レターパックや簡易書留による書面
- 不動産屋名義・家主名義の請求書
などを通じて、何度も送りつけてくる。
全国借地借家人組合連合会(全借連)の担当者は、この一連の流れを「誹謗行為」「退去圧力」として問題提起し、
- 弁護士ではない者が法律家のように振る舞う「非弁行為」(弁護士法72条)に当たらないか
- 裁判手続を経ずに追い出そうとする「自力救済」の禁止に反するのではないか
といった観点で、法務省の担当者と議論してくれました。
整理として示されたのは、概ね次のような内容です。
- 家主本人の行為については、弁護士法72条の問題というより、消費者契約法や消費者保護、倫理・コンプライアンスの枠組みで考えるべき部分が大きい
- しかし、宅地建物取引業の免許を持つ不動産屋が同様の行為をすれば、宅建業法上の行政処分(業務停止や免許取消)の対象になり得る
- 裁判所の判断を待たずに鍵交換や荷物の撤去などを行えば、いわゆる自力救済の問題として、刑法上のリスクも帯び得る
つまり、
「家主だからといって、好きなように追い出し行為をしてよいわけではない」
「不動産屋が“追い出しの道具”として誹謗行為や退去圧力を使えば、行政・弁護士会・消費者庁の対象になり得る」
ということです。
内容証明は「準備まで」で止めた
こうした動きの中で、私は内容証明郵便の下書きまで作りました。
家主、不動産屋に対して、何をどう伝えるか、文章もほぼ出来上がっていました。
理由はいくつかあります。
- すでに行政や全国借地借家人組合連合会(全借連)、弁護士に相談しており、こちらの主張や問題意識が一定程度共有されていると感じたこと
- 新たに弁護士名で内容証明を出すことで、弁護士費用を要してしまうこと
(「賃料増額ドットコム」は、可能な限り専門家の費用を掛けず、自分で対応するコンセプト) - 今は「家賃を払い続けながら、相手の行動と請求内容を記録する」ことに軸足を置いたほうが、長期戦として合理的だと考えたこと
結果として、
「内容証明はいつでも出せる状態まで準備したが、あえて出さずに様子を見る」
という選択を取りました。
これは、積極的な攻撃ではなく、「これ以上相手に材料を与えない」という意味で防御策にもなります。
新しい書面は届かないまま
その後しばらくのあいだ、
- 不動産屋からの新しい請求書や督促メール
- 家主からの新たな「退去要求」や「不法占拠」通知
といったものは、私の元には届いていません。
その一方で、私は淡々と次のことだけを続けました。
- 毎月の家賃を、「○月分家賃」と明記して期限内に支払う(家賃は、和解後の増額後賃料をきちんと反映)
- 更新料・遅延損害金・賃料相当損害金については、支払いを拒み続ける(法的に争う前提を維持する)
- 届いた書面やメールはすべて保管し、必要に応じて全国借地借家人組合連合会(全借連)や弁護士、行政にも共有できるようにする
表面的には、新しい攻勢は一旦止まっています。
ただ、「いつ次の一手が来てもおかしくない」という緊張感だけは、しばらく残り続けました。
家賃保証会社に映っていた「私の姿」
そんな中で、契約時に加入している、「家賃保証会社」から電話がかかってきました。
詳細はこちらの記事にしております。

用件は、「〇月分家賃の未払いがあるので督促します」というものでした。
話を聞いていくと、次のような事実が分かりました。
- 不動産屋から家賃保証会社には、「〇月分家賃の未払い」という内容のFAXが1枚送られた
- そのFAXを根拠に、家賃保証会社は「家賃の支払い状況の確認」として私に電話をかけてきた
ここで私は、これまでの経緯を簡潔に説明しました。(担当者が変わったとのことであらためて)
- 〇月分の家賃は、実際には期日までに支払済みであること(振込日・金額を具体的に説明)
- その後の月の家賃も、毎月期日どおりに支払っていること
- 不動産屋が家賃を、勝手に更新料や遅延損害金に充当し、「帳簿上の滞納」を人工的に作り出していること
- 更新料・遅延損害金・賃料相当損害金については、弁護士や行政と相談しながら、法的に争う前提で支払いを拒んでいること
家賃保証会社の担当はひととおり話を聞いたうえで、落ち着いた口調でこう言いました。
「それなら、現時点では振込明細などの提出までは必要ありません。おっしゃっていることは理解しました」
さらに、家賃保証会社に届いている情報の中身についても教えてくれました。
「当社に来ているFAXは、『〇月分の家賃が未払い』という金額だけが記載されたものです。
更新料や遅延損害金、賃料相当損害金といった項目については、一切記載されていません。」
つまり、
不動産屋は、家賃保証会社に対して「更新料・遅延損害金への充当」や「係争中であること」を伏せ、
あたかも単なる『家賃滞納』であるかのように報告していた
ことが、第三者の口から確認できたのです。
破綻し始めた「保証会社を使った追い出しシナリオ」
前任の家賃保証会社担当者からは、次のような説明を受けていました。
- 退去時に「未払い」とされる金額が残っている場合、家賃保証会社が不動産屋に対して立て替える
- その後、家賃保証会社から私に対して一括請求を行う
- つまり、「退去後に保証会社からの請求が飛んでくる」仕組み
家主・不動産屋が描いていたのは、おそらくこういう筋書きです。
- 更新料・遅延損害金・賃料相当損害金を、「家賃から勝手に差し引く」
- 帳簿上の「家賃滞納」を膨らませる
- 退去時に「未払い家賃」として家賃保証会社に立て替えさせる
- 家賃保証会社に私への取り立て(電話・書面・裁判)を担わせる
ところが、今回の通話で、家賃保証会社担当者はこんな趣旨のことをはっきり述べました。
- 「争いがある状況で当社が立て替えて、借主に請求しても、同じように争いになり、回収できない可能性が高い」
- 「その場合は、当社が間に入るのではなく、借主と不動産屋で直接話し合ってもらうことになる」
- 「結果、当社が不動産屋に支払った分は、『返してください』と不動産屋に求める話になると思う」
つまり、家賃保証会社の立場から見ても、
「争いのある債権を安易に立て替えて、借主にぶつけるのはリスクが高い」
という認識が共有されている、ということです。
家主・不動産屋が想定していた「家賃保証会社を使い、私を追い出しする作戦」は、
ここにきて足元から崩れ始めているように見えます。
裁判所の決定がない限り、こちらの居住権は続く
全国借地借家人組合連合会(全借連)との通話でも、家賃保証会社との通話でも、繰り返し確認できたことがあります。
それは、
「裁判所の決定がない限り、私はここに住み続けてよい」
という、ごく当たり前で、しかし当事者にとってはとても大きな事実です。
- 家主がどれだけ「契約は解除済みだ」と書いてこようが
- 不動産屋がどれだけ「不法占拠」「賃料相当損害金」と書き連ねようが
- 家賃保証会社にどれだけ「家賃滞納」とFAXしようが
裁判所が「立ち退きなさい」と決定するまでは、
私はここに居住し続ける権利があります。
そして、
- 家賃だけは淡々と払い続ける
- 更新料・遅延損害金・賃料相当損害金には、一貫して異議を述べる
- 行政・全国借地借家人組合連合会(全借連)・弁護士とのパイプを維持する
この三つを続けている限り、
相手が動けば動くほど、自分たちのリスクが増えていく
という構図になりつつあります。
だからこそ今は、
「こちらから余計な一手を増やさない」
ことこそが、最大の防御であり、静かな抵抗になっているのだと思います。
同じような状況にいる方へ
もしあなたも、
- 賃料増額を拒否したことで、家主・不動産屋からの退去圧力を受けている
- 更新料・遅延損害金・賃料相当損害金を盾に、「家賃滞納」にされかかっている
- 退去後に保証会社から一括請求されるのではないかと不安で眠れない
そんな状況にいるなら、今回の経験から言えることが一つあります。
「家賃を払い続ける記録」と
「相手が何をしてきたかの記録」は、必ずあなたの味方になる
そして、
- 全国借地借家人組合連合会(全借連)
- 行政
- 賃貸トラブルに詳しい弁護士
- ときには家賃保証会社そのもの
こうした「第三者」が、家主・不動産屋の雑な運用にブレーキをかけてくれています。
内容証明編⑤は、
行政と家賃保証会社が「人工的な滞納」の存在に気づき始めた局面の記録
です。
この先、また新しい手が打たれるかもしれません。
けれど、そのたびに一つずつ記録し、一つずつこちらの準備を整えていくつもりです。
同じように闘っているどこかの誰かの、
少しでも肩の力を抜く材料になればと思いながら、
この記録をここに残しておきます。
内容証明編⑥へつづく ※最初の記事から読みたい方はこちらへ


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