玄関オートロック故障、浴室のカビ…それでも家賃は上がる?
賃貸アパートでの暮らしは、快適な住環境が約束されているからこそ成り立っています。しかし、現実には設備の不具合や老朽化が放置され、さらに家賃値上げや退去の話まで持ち出される――そんな理不尽な状況に直面する借主も少なくありません。
今回は、実際にあった「設備不良を修理してもらえず、家賃値上げや退去を迫られた」事例をもとに、借主が主張できる権利や具体的な対応策を徹底解説します。
【事例紹介】修理もされず、家賃値上げと退去通告
事例:ある賃貸アパートでは、入居半年で玄関のオートロックが故障。管理会社に修理を依頼したものの、「物理鍵で使えるからこのまま」と修理を断られました。さらに、浴室の壁は一部盛り上がり、カビが発生。ドアも傷んでいます。洗濯機の排水口部品も消耗し、交換が必要な状態です。
これらの不具合を伝え、「家賃減額も検討してほしい」と相談したところ、返ってきたのは以下の返答でした。
- 家賃減額は難しい
- 物価高でむしろ家賃値上げの可能性がある
- オートロックは物理鍵で使えるので修理しない
- 浴室の劣化は築年数のせいなので我慢してほしい
- 排水口の部品は消耗品なので入居者負担
- 物件売却予定で、買い手が自分で住むなら半年以内に退去を求める可能性あり
設備不良が放置されるばかりか、家賃値上げや退去の話まで持ち出され、不安で眠れない日々が続いています。
借主が知るべき「修理義務」と「家賃減額」のルール
設備不良は大家の修理義務
民法では、エアコンやオートロックなど、賃貸物件の設備(残置物ではない)が故障した場合、借主の故意・過失でない限り、大家(貸主)が修理する義務があると明記されています。浴室や玄関など生活に不可欠な設備の不具合を放置するのは、貸主の義務違反となります。
家賃減額は「当然の権利」
2020年の民法改正で、設備の一部が使えない場合は「当然に家賃が減額される」ことが明文化されました。借主が請求しなくても、減額されるのが原則です。減額割合は不具合の内容や程度によりますが、「修理されないまま家賃据え置き・値上げ」は合理性を欠きます。
家賃値上げや退去要求はどうなる?
家賃値上げは「正当な理由」と「交渉」が必須
家賃の値上げ自体は法律上認められていますが、正当な理由と手続きが必要です。物価上昇や固定資産税の増加、周辺相場との乖離などが理由となりますが、設備不良の放置中に値上げを求めるのは不当と考えられます。借主は値上げを拒否する権利があります。
退去要求も「正当事由」が必要
物件売却やオーナーチェンジによる退去要求も、借地借家法で「正当事由」が必要とされています。単なる売却予定やオーナー都合だけでは、簡単に退去させられることはありません。
借主ができる具体的な対応策
- 修理要請は必ず書面で行い、記録を残す
電話や口頭だけでなく、メールや内容証明郵便で修理要請を行いましょう。 - 家賃減額を再度主張する
民法改正を根拠に、「減額は当然」と伝えましょう。 - 第三者機関に相談する
消費生活センターや弁護士、不動産トラブル相談窓口に相談し、専門家のアドバイスを受けましょう。 - 安易に退去や値上げに応じない
法的根拠がない場合は、応じる必要はありません。
まとめ:泣き寝入りせず、正当な権利を主張しよう
設備不良の放置や修理拒否は、貸主の法的義務違反となる可能性が高く、家賃減額も借主の当然の権利です。家賃値上げや退去要求にも、正当な理由や手続きがなければ応じる必要はありません。
まずは冷静に記録を取り、専門家に相談しながら、泣き寝入りせず正当な権利を主張しましょう。
「設備不良でも家賃は上がる?」――そんな不安を感じたら、まずは民法改正の内容と借主の権利を確認し、行動を起こすことが大切です。
【参考:民法改正(2020年4月)・借地借家法・消費生活センター等】



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