賃貸物件の賃料増額を巡るトラブルは、身近なものながら解決まで“お金の不安”が付きまとうものです。特に、「少額訴訟」による費用負担は、多くの方が想像するほど重いものではないことを、私自身の体験をもとに解説します。
道筋:調停 → 訴訟 → 訴訟&調停 → 和解
賃料増額請求は、まず調停からスタートします。(調停前置主義) 第一回の調停で、両者の歩み寄りを図りつつも合意に至らず訴訟(1回)へ移行しました。その後、私の場合は裁判所の裁量により訴訟と並行し調停(5回)も実施し、最終的には和解することで紛争は終結しました。各回はおおむね月1度のペースで進行します。
不動産鑑定の費用負担 ~今回は無料!!~ →この様な解決策は少なくないそう
賃料増額が争点になると、継続賃料の相場を客観的に示す「不動産鑑定」が必要になる場合があります。ここが費用面の最大の不安ですが、不動産鑑定士である調停委員の一人が、双方の主張や証拠書面を出し尽くした後に、無料で机上鑑定(簡易鑑定)を意見書として提出いただき、家主・借主ともに不動産鑑定費用負担はありませんでした。
簡易鑑定は、現地の内覧や詳細調査を省略し、公的データなどに基づく机上算出です。一般に依頼する場合は4~5万円程度ですが、正式な不動産鑑定となると70万~100万円もの費用がかかります。
実務上の費用は?
少額訴訟の費用負担は、思うほど高額ではありません。
- 収入印紙代(訴額による):例)20万円 →2,000円、60万円 →6,000円(訴訟した側、今回は家主のみ)
- 郵便切手代:裁判所ごとで異なりますが、被告1人で5,000円前後(家主、借主共に)
- その他:交通費、書留や切手代、必要書類のコピー代など(家主、借主共に)
多くの場合、合計で1万円~1万5千円程度で収まることが大半です。弁護士に依頼しない、証人などを手配しない限り、大掛かりな出費を心配する必要はありません。
実際の交渉で感じたこと
机上鑑定が無料で提出された一方で、「この内容に納得できない場合は各自で不動産鑑定士へ正式鑑定を依頼し、裁判所へ提出するしか選択肢がない」という状況でした。つまり、不動産鑑定の費用面から家主・借主ともに簡易鑑定の判断で妥協せざるを得なかったのが現実です。
正式鑑定の費用や時間を考えれば、双方とも現実的な落としどころを模索するしかなかった――これが少額訴訟の現場で感じた率直な印象です。
少額訴訟の注意点
- 請求額が60万円以下に限られる(利息などを除く元本ベース)
- 金銭の支払いのみ対象
- 費用は通常訴訟より少なく、スピーディに決着
- 一度きりの審理で完了するため、迅速(私の場合は訴訟で調停に差し戻し、並行して実施する決定がなされた)
まとめ
賃料増額トラブルにおける少額訴訟の費用負担は非常に低く抑えられています。調停段階で調停委員が不動産鑑定士の場合は、簡易鑑定が無料になるケースも。万が一納得できなければ、双方が鑑定費用の現実的負担や和解点を意識せざるを得ません。法的手続き=高額というイメージに惑わされることなく、制度を上手に活用いただければと思います。
少額訴訟の現場実体験として、費用問題で悩む方の参考になれば幸いです。





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