法定更新中だけど、どうやって「きれいに退去」する?
結論
法定更新中でも、退去のしかたをきちんと設計しておけば、「敷金トラブル」や「退去後の追加請求」をかなり減らせます。
家賃値上げや不当な請求に悩んでいても、出口戦略を持っておけば、20代の一人暮らしでも落ち着いて新生活に進むことができます。
なぜ退去前から「出口戦略」が必要なのか
法定更新中は、こちらから動かない限り「膠着状態」
私の契約はいま「法定更新」の状態です。
法定更新とは、契約期間が終わっても、貸主に正当な理由がない限り、これまでと同じ条件(期間だけ違う)で自動的に続いている状態のことです。
つまり、こちらが退去連絡をしない限り、家主・不動産会社から一方的に「出て行ってください」とは言えません。
逆に言えば、退去のカードを切るかどうかは、完全に借主側に主導権がある状況です。
でも、ただ退去届を出すだけだと危ない理由
一方で、私はこんな不安を抱えています。
- 「大幅な家賃値上げ」や「不当な遅延損害金の請求」を何度もしてきた相手に、普通に退去届を出して大丈夫なのか?
- 敷金は本当にちゃんと返ってくるのか?
- 法定更新により支払義務がないと考えている更新料や遅延損害金を、退去後も「未払い」として請求され続けるのではないか?
実際、賃貸の退去トラブルで一番多いのは、
- 敷金がほとんど返ってこない
- 「ハウスクリーニング代」「原状回復費用」「家賃未納」を理由に追加請求される
といったケースです。
国土交通省も、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公表して注意喚起しているくらい、全国で同じようなトラブルが起きています。
だからこそ、退去を「ただ出ていく日」ではなく、「トラブルを終わらせるための最後の交渉の場」として設計する必要があると考えています。
私が考えている「退去のシナリオ」
ここからは、実際に私が考えている出口戦略(退去シナリオ)を、20代・ひとり暮らしの方にもイメージしやすいように整理してみます。
ステップ1:いきなり「退去します」とは言わない
まず大事なのは、物件が決まってから慌てて退去届を出すのではなく、「事前に退去の条件を決めておく」ことです。
私の場合は、
- 1年〜半年前くらいに、「ある条件なら退去も前向きに検討する」という趣旨の提案を、不動産会社・家主に出すつもりです。
- まだ退去日を決めるわけではなく、「こういう内容の覚書(合意書)を結べるなら、良い物件が見つかったときに退去を本気で検討します」というスタンスです。
これなら、
- こちらの条件を先に共有できる
- 相手にも検討する時間がある
- 条件が呑めないなら、引き続き法定更新で居住を続ければいい
という、逃げ道を残した交渉になります。
ステップ2:覚書に入れておきたい4つの条件
私が覚書に盛り込みたいのは、次の4点です。
- 退去日の合意
- 「◯年◯月◯日までに退去・明け渡しする」と、互いに合意する。
- これは、新しい物件が決まってから最終的に確定させます。
- 更新料・遅延損害金などの追加請求をしないこと
- 退去日までの賃料は、和解調書どおりに毎月支払う。
- その代わり、更新料・更新事務手数料・遅延損害金など、法定更新後に争いになっている部分は請求しないと書面で合意する。
- 敷金は国交省ガイドラインどおりに精算すること
- 清算条項:「これでお互い、もう請求しません」を明文化
ステップ3:それでも合意できない場合はどうするか
もちろん、不動産会社や家主が、この条件をそのまま飲むとは限りません。
その場合、私のスタンスはシンプルです。
- 条件に合意できない ⇒ 退去はせず、法定更新のまま住み続ける
- 和解調書どおりの家賃だけ支払い、不当だと思う部分はこれまで通り争う
つまり、「覚書でキレイに終わらせる」か、「法定更新で粘る」かの選択肢は常にこちらが持っている、という前提で動きます。
20代ひとり暮らしでもできる「退去の準備」
ここまでを、もう一度シンプルにまとめると、
- 法定更新中でも、こちらから退去を言わない限り、基本的に追い出されない
- 退去するなら、「敷金」「更新料・遅延損害金」「退去後の追加請求」の3点をどうするかを先に決めておく
- そのために、「覚書(合意書)」という形で条件を書面に落とす
- 条件に合意できないなら、退去せずに法定更新を続ける、という選択肢もとっておく
という出口戦略です。
今日からできる具体的な一歩
もしこの記事を読んでいて、
- 家賃値上げや更新料のことでモヤモヤしている
- 不動産会社の対応に違和感がある
- でも、争い事は苦手で、誰にも相談できていない
という状況なら、いきなり覚書交渉をする必要はありません。
まずは、次のどれか一つだけ、今日やってみてください。
- 契約書と重要事項説明書をスマホで撮影する
- いつでも見返せるようにしておくと、相談するときに非常に役立ちます。
- 退去時のトラブルが不安なら、「原状回復 ガイドライン 国土交通省」と検索してみる
- 消費生活センター(局番なし「188」)や、自治体の無料法律相談をメモしておく
- ノートやメモアプリに「自分が退去するなら絶対にゆずれない条件」を3つだけ書き出す
- 例:「敷金はガイドラインどおり」「変な遅延損害金は払わない」「退去後に追加請求されないこと」など。
小さな一歩ですが、これが「きれいに退去して、新生活を安心してスタートする」ための準備になります。
おわりに:争いが苦手でも、「静かな戦い方」はある
「裁判なんて無理」「不動産屋とケンカしたくない」
そう感じるのは、ごく自然なことです。
でも、
- 感情的に言い合うことだけが「戦う」ことではありません。
- 契約書を読み、ガイドラインを知り、覚書という形で出口戦略を用意しておく。
これは、20代の一人暮らしでもできる、とても現実的な「自分を守る戦い方」です。
家賃値上げや退去トラブルに悩んでいる方が、
「きれいに退去する方法」
「法定更新中の出口戦略」
で検索したときに、この連載が少しでもヒントになればうれしく思います。
次回は、実際に不動産会社・家主に覚書の条件を提示するときの文面や、交渉の進め方について、具体例を交えて紹介していきます。
つづく ※最初の記事から読みたい方はこちらへ







コメント