ついに最終局面へ――調停条項案と現場のリアル
先日、第七回口頭弁論が行われ、「調停に代わる決定」が示されました。ついにこの家賃増額訴訟も最終局面を迎えます。
この日は、調停の現場で“人間の本性”が垣間見える瞬間も多く、和解の意義や実務的な教訓が凝縮された一日となりました。
裁判所の和解条項案――その内容とポイント
裁判所が示した和解条項案は、以下のような構成でした。
- 賃料増額の確認
令和X年X月X日以降は月額10,000円増額で合意
※当初訴状では月額50,000円のUPでしたので、ほっとしました。 - 今後の賃料と支払い方法
和解日翌月の1日から増額後の賃料で合意。毎月末日限り翌月分を送金。契約書は別途作成。 - 過去の差額・更新料差額・遅延損害金
賃料差額(+更新料差額)+年10%の遅延損害金の合計を一括清算。 - 支払方法
令和X年X月XX日までに指定口座へ振込(手数料は借主負担) - 将来の賃料改定時の協議義務
賃料改定時には、事前に誠実な協議を行うことを明記。 - その余の請求放棄・債権債務の清算
原告はその他請求を放棄し、双方に債権債務がないことを確認。 - 調停費用は各自負担
「更新料差額」――なぜ今ここで?
これまでの訴訟記録では、「更新料差額」の請求は一切争点化されていませんでした。
しかし裁判所が原告に「具体的な差額計算を」と求めた結果、突如として過去の「更新料差額」も加算。契約更新月に+10,000円を遡及請求する形となりました。
私は即座に、「今まで話に出てきていない」「訴状にも書いていない」と疑問を呈しましたが、裁判所は「更新料は当然発生する」と説明。
原告は「計算上出てきた数字です」とし、これにより調停内でも意見が衝突しました。
「私に不利な条項は一切認めない」!?――感情が露わになる瞬間
調停の終盤、原告が感情的になる場面がありました。
裁判官が「今後の賃料増額には、理由資料を示し、誠実な協議を行う」という条項を提案した際、原告はこう言い放ちました。
「私は一切譲歩しない。不利になるような条項は和解案に一切載せたくありません」
「もう判決でいいです!」
……耳を疑いました。
当初月額5万円もの大幅増額訴訟を提起しておきながら、不動産鑑定士の意見書通りの和解に進む最中にこの態度。
正直、「恥ずかしい」と感じざるを得ませんでした。
長期化の原因と「誠実な協議」条項の意義
本件が長期化した背景には、次のような実務上の問題があります。
- 原告の物件管理窓口である不動産業者から、賃料増額の説明が9か月間もなかった
- その間に、旧賃料での契約書が送付され、被告は増額がなかったと認識
- 結果、転居などの選択肢を失った
この経緯を踏まえ、私は「今後は根拠資料を提示し、誠実な協議を義務付ける」条項の追加を裁判所に要望しました。
裁判所も、「今後は裁判沙汰にならないよう、必要な調整を行い、誠実に協議することが大切」と述べていました。
裁判所の冷静な進行と和解の意義
対照的に、裁判所は終始冷静かつ実務的でした。
- 契約書の効力発生日、遅延損害金の法的表記などの懸念にも丁寧に対応
- 「調停に代わる決定」として成立させ、2週間以内の異議申立がなければ確定
- 判決ではなく和解により、履行の明確化・訴訟費用の低減を実現
また、和解成立後は「債権債務なし」を明記でき、将来のトラブルリスクも低減されます。
本件の教訓:感情よりも記録と冷静な主張を
- 和解とは「互譲」であり、一方的な主張ではない
- 感情的な主張は記録に残る。冷静な記録と主張が自分を守る
- 裁判所は、中立的かつ粘り強い対応には応えてくれる
「家主の本性」は、こういう時にあらわになります。
感情的になって「もう判決でいい!」と捨て台詞を吐いたその姿を、私は一生忘れません。
次回予告:「和解編⑤」最終局面へ
裁判所から届いた「調停に代わる決定」書面と、最終的にどんな文言で決着したのかをレポート予定です。
- 後付けされた更新料差額の扱いはどう整理されたのか?
- 和解後の賃貸借契約書巻き直しはどう進めるのか?
現場で得た教訓とともに、実務的な対応をまとめてお届けします。
次回口頭弁論はなく「調停に代わる決定」として成立させ、2週間以内の異議申立がなければ確定します。⇒訴訟は和解で終了
ただし、原告及び被告が異議申立をした場合は「地方裁判所」に案件が移送され、あらたな裁判費用が掛かるそうです。原告はこのまま和解を選択するのでしょうか?
それとも・・・・。




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