最終結末へ──「調停に代わる決定」と和解成立、その後の現場対応
1. ついに決着!「調停に代わる決定」が到着
ついに賃料増額訴訟が最終局面を迎え、裁判所から「調停に代わる決定」書面が正式に送付されました。
これこそが、訴訟の“実質的なゴールテープ”です。
内容はこれまで示された和解条項案に沿ったもので――
・新賃料(月額+1万円)
・過去の賃料・更新料差額+遅延損害金の精算
・将来の賃料改定時の誠実な協議義務
・その他請求放棄/債権債務の清算
すべてが盛り込まれ、形式上「判決」ではなく“双方合意による解決”が図られました。
この「調停に代わる決定」は、2週間以内に原告・被告とも異議申し立てがなければ自動的に確定。正真正銘、本件訴訟の幕引きとなります。
2. 突如加わった「更新料差額」、最終整理のプロセス
最終的な和解内容で最大のサプライズとなったのが、「更新料差額」の遡及請求です。
訴訟中には話題にもならなかった項目が、調停案提示の段階でいきなり上乗せされる異例の展開。
私自身「話が違う」と抗議しましたが、裁判所は“この計算も適法”との説明。
結果的に、賃料差額や損害金と一括でまとめ精算することで合意しました。
この一件から学んだのは「調停や和解の現場では、当事者間に“解釈のグレー”が生じ得る」こと。
記録や根拠が曖昧だと、裁判所主導で“形式的に落としどころを作る”ケースもあるのです。
3. 実務の現場:和解調書から契約の巻き直しまで
和解が確定した後は、速やかに「新しい賃貸借契約書」の締結へと進みます。
このとき要注意なのは、
▼ 和解調書の内容(条件・日時・経緯)が新契約にすべて正しく反映されているか
▼ 家主・仲介業者が和解に無い新たな特約や条件を盛り込んでこないか
▼ 支払済み各種差額の精算、敷金や原状回復、法定更新の扱いなどにも抜け漏れがないか
という点です。
私の場合、賃借人の権利保護(法定更新条項、原状回復のルール、敷金返還時期等)を新たな契約書にも反映させるべく、交渉と修正要請を続けました。
また、不動産会社から「そのまま書式で契約してくれ」と言われても、
「和解調書の内容どおりでなければ署名できない」
「借主・貸主双方が納得できる修正がなければ、現状の賃料支払い(法定更新)で進める」
という立場を貫くことができたのは、和解内容や経緯を自分でも正確に記録し、根拠をもって交渉できたからだと確信しています。
4. 裁判所の工夫と、現場で得た学び
今回、裁判所が「誠実な協議義務」や「更新時には根拠資料を提示」という、将来のトラブル防止に資する条項を和解調書に盛り込んだことはとても大きな意味がありました。
双方が譲歩し、冷静に記録・論点を積み重ねる――。
和解とはまさに「Win-Win」でも「Lose-Lose」でもなく、“着地点を作るための芸術”だと再認識しました。
5. 最後に──冷静な記録・主張が自分を守る!
訴訟や和解を通じて最も力になったのは、「感情で主張をぶつけること」ではなく、
根拠のある数字・記録・経緯の積み重ね、そして一貫した冷静な主張でした。
最後、原告側の激昂や感情論にも動じず、「法と事実」による解決を求め続けられたことが、自分自身の最大の安心材料でした。
今後、和解後に動くべき具体的なポイントは
・和解内容の書面(契約書・特約)への正確な反映
・賃料支払等の現場履行・証拠保存
・将来的な交渉・更新条項の明記
などが中心です。
この一連の経験から、司法の現場で勝つのは“正しい準備と持続する冷静さ”であることを改めて強調したいと思います。
法的な着地点にたどり着くまで、あきらめず記録・根拠とともに交渉を続けてください。
そうすればきっと、納得できる解決ができるはずです。
(本シリーズ・和解編はこれにて完結!?だったのですが、続編開始です!)




コメント
はじめまして。
現在借主として賃料増額請求の裁判中で、非常に勉強になりました。
ひとつお尋ねしたいのですが、本件の不動産鑑定の費用負担はどういった割合になりましたか?
非常に高額(70万~100万)と聞いております。本件のような着地でも不動産鑑定の費用は50%-50%の折半だったのでしょうか?
いきなり高額な値上げ訴訟に突入して、さらに不動産鑑定の費用まで負担となると不安で仕方ありません。
はじめまして、ご丁寧なコメント誠にありがとうございます!とても大変励みになります!
ご質問の「不動産鑑定の費用負担」についてですが、私の場合は調停委員の方が不動産鑑定士さんでもあり、無料で簡易鑑定をしてくださいました。簡易鑑定は物件の内覧などを伴わず、机上で算定するため、正式な鑑定と比べてかなり低コストです。通常の正式な不動産鑑定ですと、ご指摘のとおり70万~100万円ほどかかることもありますが、簡易鑑定であれば一般的には4~5万円程度で依頼できるようです。
また、今回は簡易裁判所での少額訴訟だったため、費用負担も実費(交通費や書留・切手代などの通信費)が中心で、折半とは言ってもご不安になるような高額な費用負担にはなりませんでしたので、ご安心いただければと思います。
なお、「少額訴訟に特化した費用負担の記事」は未公開だったため、近日中に詳細記事を投稿したいと考えています。
現時点で参考になりそうな記事はこちらです。よろしければご覧ください。
https://chinryo-zogaku.com/gisei-chinjyutsu/
https://chinryo-zogaku.com/sosho-matome/
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。